静かな集落の中を歩いていると、突然その建物が現れます。
木々の間からのぞく、どっしりとした茅葺き屋根の阿弥陀堂。
思わず「え、なにこれ…」と足が止まりました。
約800年前、鎌倉時代に建てられた熊本県内最古の木造建築がここ、奥球磨にあるんです。
ちょっと待って、「城泉寺」って何と読む?
「じょうせんじ」と読むのですが、実はもともとの名前は「浄心寺(じょうしんじ)」。
大正時代に仏像が国宝に指定される際、書類にうっかり誤記されたことから「城泉寺」になってしまったんだとか。
800年の歴史を持つお寺の名前が、大正時代のうっかりミス由来という、なんとも味わい深いエピソードです。笑
茅葺き屋根の迫力に圧倒される
境内に入った瞬間、まず目に飛び込んでくるのがあの茅葺き屋根です。
分厚くこんもりと重なった茅が、ゆったりとした曲線を描きながら空に広がっていて、周りの緑と溶け合うような佇まい。
大きな茅葺の屋根をもつ城泉寺の本堂
境内には国指定重要文化財の七重石塔・九重石塔も立ち、春はピンクのツツジとの対比がとても鮮やか。歴史と自然が一緒に楽しめますよ。
ツツジの奥に佇む七重石塔
電話一本で開けてもらえる、阿弥陀三尊像
阿弥陀堂の前に進むと、「お堂をご覧になりたい方はこちらまで」と連絡先が掲示されていました。
是非見たい!すぐに電話をかけると、長年このお寺を守り続けている管理人の柳瀬さんが電話口に。
「10分ほどで行きます」と言って、本当に来てくださいました。
(電話が繋がらない場合は湯前美術館・湯前町役場教育課に問い合わせると、学芸員の方が対応してくださるとのこと。)
地域の方の手でこのお寺が守られ、訪れる人に繋いでいるんだなと、じんわり感動してしまいました。
城泉寺の本堂の扉
扉がゆっくり開いた先に現れたのは、国指定重要文化財の木造阿弥陀三尊像。
中央に阿弥陀如来、両脇に観音菩薩・勢至菩薩が静かに並んでいます。
京都の国宝と同じ、慶派仏師の作と考えられているんだそうです。
国指定重要文化財の木造阿弥陀三尊像
中央の阿弥陀如来
左側の勢至菩薩
右側の観音菩薩
厳かで、静かな迫力があります。間近で対面した瞬間、自然と背筋がピシっと伸びました。
奥球磨に佇む、本物の歴史
電話一本で800年前の国指定重要文化財と静かに向き合える場所がここにあります。
奥球磨を訪れたら、ぜひ立ち寄ってみてください。
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住所
〒868-0600 熊本県球磨郡湯前町瀬戸口5617
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お堂内の拝観
要連絡(城泉寺管理人に電話/繋がらない場合は湯前美術館・湯前町役場教育課へ)
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駐車場
あり。10台程度収容可能
