稲刈り後、天日干しを行う風景
今年の秋、稲刈りを終えたあとに残った藁が、思いがけないご縁へとつながっていきました。
ありがたいことに、岡留熊野座神社のしめ縄づくりに、私たちの田んぼで育った稲の藁を使っていただくことになりました。
農と祈りが結びつく場所
岡留熊野座神社は、古くからこの土地で人々の暮らしを見守ってきた神社です。
熊野信仰の流れをくみ、山や水、田畑など、自然そのものを敬いながら、五穀豊穣や家内安全、無病息災を祈る場 として大切にされてきました。
農の営みと信仰が、日々の暮らしの中で静かに結びついてきた、そんな場所でもあります。
収穫のあとに迎える、大切な準備
毎年11月、秋の収穫が終わる頃、万年豊作や五穀豊穣、無病息災を祈願する大祭が行われます。
その準備のひとつが、境内や鳥居に飾るしめ縄づくり。
今年は、そのしめ縄に私たちが育てた稲の藁を使っていただくことになりました。
本当に光栄で、思わず泣きそうになりました。
当日は地域の方々が集まり、まずは藁の下準備から始めます。
先端に釘がついた昔ながらの道具で、藁を引っかけながら表面のささくれを取り除いていく作業。
手で行うよりもずっと早く、道具と知恵が、今も大切に受け継がれていることが伝わってきます。
藁のささくれを取り除く昔ながらの道具
次に、藁をロール状の道具に通し、芯をやわらかくする工程へ。
縄を編みやすくするための大切なひと手間です。
この道具がない場合は、木づちで叩いてやわらかくするのだそう。
藁をやわらかくする道具
七人一組で、一本の縄を
しめ縄づくりは、縄を編む人、藁を補充する人、綱を引く人など、7人一組で進めます。
中心部分は、大人の手でもいっぱいになるほどの太さ。
藁を足しながら、何度も何度も編み込み、5〜8メートルほどの縄を3本つくりました。
立派なしめ縄が完成!
一つ目は、神域の入り口へ
完成したしめ縄は、神社の鳥居や境内へ取り付けられました。
この大祭から一年間、地域を静かに見守ってくれます。
見れば見るほど美しい。
二つ目は本殿へ奉納
最後はなんと、おかどめ幸福駅にも奉納されました。
学生時代、汽車(球磨郡ではそう呼んでいました)を利用するたび何気なく眺めていたあの駅に、
自分たちが育てた稲でつくられたしめ縄が飾られている・・
感動してじーんときてしまいました。
準備から飾りつけまで、丸一日の作業。
地域の方々との会話や笑顔に包まれ、とてもあたたかな時間を過ごすことができ
地域の祈りや行事につながっていくことの 尊さ
をあらためて感じました。
稲刈りのあと、稲架掛けでじっくり天日干しした藁は、芯がしっかりとしていて、しめ縄づくりにとても適しているそうです。
ただ近年は、稲架掛けを行う田んぼが減り、藁を集めること自体が年々難しくなっていると聞きました。
そんな中で、自分たちの藁がお役に立てたことを、心からうれしく思います。
田んぼで育った稲が、しめ縄となり、また一年、この土地と人々を見守ってくれる。
その循環の中に関われたことに感謝しながら、これからもお米づくりと藁の提供を大切に続けていきたいと思います。
