熊本県の南部、あさぎり町。
清らかな球磨川のほとりに、真っ白なヤギたちがのんびりと草を食べる姿があります。
ここは「山羊のいる球磨川」。ヤギと人が自然の中で触れ合える場所として、地元の人や子どもたちに親しまれてきました。
そんな「山羊のいる球磨川」ですが、たくさんの思い出と笑顔を残して、この10月に静かに幕を閉じることとなりました。
広々とした場所でのんびり過ごす山羊たち
ヤギのいる球磨川についての記事はこちらから↓
「山羊のいる球磨川」これまでの歩み
「昔は子どもたちが川で思いっきり遊んでいたのに、今は外で自由に過ごせる場所が少なくなっている」
そう感じた白柿さんは、長く関東で営業職として働いていましたが、故郷・あさぎり町へ戻り、自らの手で“子どもたちが自然や動物と触れ合える場所” をつくろうと決意します。
2012年、貯金を使ってヤギ小屋を建て、鹿児島から8頭のヤギを迎えました。
行政の補助もない中、妻と二人三脚で始めた「山羊のいる球磨川」。
ホームページに掲載されている、当時のヤギたち
2016年には、ヤギミルクを使った乳製品の生産・加工・販売もスタート。
ところが2020年、コロナ禍と球磨川の豪雨災害が、穏やかな日常を一変させます。
小屋は浸水、5頭のヤギを失う悲しみもありました。
それでもボランティアや地域の人たちの支えを受け、1年かけて牧場は再び息を吹き返しました。
たくさんの癒しをありがとう
白柿さんご夫妻と出会って、もう3年ほどになります。初めてお会いしたのは2022年。
搾乳を間近で見せてもらったとき、当時2歳だった息子はキャッキャと笑って喜んでいました。
子供たちからもらった絵は宝物だと言っていました。(2022年)
この年には、子どもたちからいただいた絵を竹林に飾り、「竹林の小径(こみち)ギャラリー」を開催。ヤギを通して人がつながり、あたたかな空気が流れていました。
放牧している風景
半年ほど牧場のお手伝いをしたこともあります。
餌やり、搾乳、放牧、乳処理…と大忙しの毎日。
それでも、一休みのときにヤギを眺めてほっと笑うご夫婦の姿に、何度も癒されました。
生まれたての子ヤギを抱っこ。もふもふで温かい
これからは、ご夫婦ゆっくりの時間を
白柿さんは、今年81歳。
体力的な限界も感じ始め、惜しまれながらも2025年10月をもって廃業を決められました。
※通常のふれあい体験は10月13日で終了。
川のせせらぎ、草をはむ音、子どもたちの笑い声。
それらが重なり合って生まれた
“やさしい時間”が、ここにはありました。
13年間の感謝を胸に、「山羊のいる球磨川」はこの秋、静かに幕を下ろします。
けれど、この場所で育まれた人と自然のつながりは、これからもきっと、球磨川の流れのようにゆるやかに続いていくことでしょう。
ヤギたちの有償譲渡について
ふれあっていた山羊たちを、ご希望の方にお譲りします。
子山羊(オス1頭・メス4頭)、おかあさん山羊12頭のうち、 現在6頭は譲渡が決まっています。
※10月31日までにお引き取りできる方 (ご希望があれば日程はご相談ください)
※お申し込み順に決めさせていただきます
※大切に可愛がってくださる方をお待ちしています
ご希望の方は 090-8915-5394(白柿)まで直接お電話のうえ、山羊小屋へお越しください。
【やさしい時間をくれた場所】
あさぎりせいりゅう 山羊のいる球磨川牧場
白柿さんご夫婦
子どもたちが自然や動物とふれあいながら、豊かな感性を育んでもらいたいという思いから、ふれあい牧場を営んでいます。
牧場で採れた新鮮な山羊ミルクは、生乳・ヨーグルト・クリームチーズなどに加工して予約販売しています。
※ヤギミルク製品の販売は、在庫がなくなり次第終了となります。
製品販売サイト
あさぎり「山羊ミルク」shop
