
あたたかく春を感じる3月下旬。
毎年この時期になると食卓に欠かせない味噌を仕込んでいます。
私が愛知県に住んでいる時も、糀屋さんが開催する味噌づくりに参加してきましたが、毎回ちがったお味噌の風味や味 が面白く、この時期になるとわくわくしてきます。
今回は、錦町にお住まいの桑原とも子さんの味噌づくりに参加させていただきました。
生産者の顔が見える食材
材料の基本となるお米や大豆は、とも子さんご自身が栽培されたもの。
自然栽培でつくられていて、つややかなお米と大豆もぷっくり丸くとても大きい。
大切に育てられたお米と大豆使った味噌づくりは、それだけでも十分に特別な体験ですが、今回はなんと、糀づくりから体験できる4日間。なんとも贅沢です。
1日目、2日目。糀の仕込み
糀の素となるお米は、しっかりと浸水させ、薪を使って丁寧に蒸し上げます。
そこへ、糀菌をふりかけて育てていきます。
約48時間を目安に、「出糀(でこうじ)」と呼ばれる仕上げの段階へ。
糀づくりは、まるで生きものを育てるような繊細な作業でした。

麹の状態を確認
塊になった糀をほぐしていきます。
手に触れると糀はほんのりと温かくて、まるで赤ちゃんを抱っこしているときのような、やさしい温もり
が伝わってきました。
「糀菌のコロニー(集団)ができているので、ぜひ見てください」との声に、太陽の光にかざしてみると、ふかふかと繊細な膜が糀の表面に広がっていて、その美しさにしばし見とれてしまいました。

ふかふかな麴菌
4日目。いよいよ味噌仕込み
薪でじっくり蒸した大豆からは、ふわりと香ばしい香りが立ちのぼり、薪と大豆のやさしい香りに包まれていました。
潰した大豆を加えるのですが、今回はミンサーなどは使わず、大豆を漬物袋に入れて、手でもみもみ。ここぞとばかりに子どもたちが大活躍です。
みんなで一緒に揉んで、踏んで、笑い声の絶えない時間となりました。こだわりがありつつも、味噌づくりはこんなに身近で楽しいもの なんだと感じたひとときでした。


お味噌づくりを楽しんだあとは、みんなお待ちかねのランチタイム。
「とんきる」のフレンチシェフ、岡田さんが作ったご飯はどれも美味しく、大人も子どもも大満足でした。

ランチを楽しむこどもたち
味噌の完成は半年後
4日間にわたるお味噌づくりは、心もおなかも満たされて、大人も子供も楽しめるすてきな体験でした。
お味噌が出来上がるのは半年後。その頃のお味噌はどんな味に育っているのか、そして優しい笑顔に包まれる時間を今から楽しみにしておこうと思います。
味噌づくりは、あさぎり町にある『Tranquille(とんきる)』で行いました。古民家を改装した店内は温かみがあり、どこか懐かしい雰囲気です。通常は、地元の食材を使ったフレンチメニューが味わえます。
とんきるさんについては、以下の記事をご覧ください。
主催者紹介

桑原とも子さん
熊本県の錦町、自然栽培農家(桑の原農園)。
自然と向き合いながらたっぷりの愛情をそそぎ、完全無農薬、植物性有機肥料不使用、無除草剤、無化学肥料でお米・麦・大豆などを栽培しています。
オンラインショップ
https://shop.kuwanohara.jp/