
今回は、あさぎり町にある川辺畳店さんの4代目、川辺哲也さんに取材をしました。
畳の素材を活かした小物や家具のブランド「tatamino」を立ち上げ、畳業界の先を見据える新たなチャレンジがあさぎり町で始まっています。
伝統と革新の畳屋
「川辺畳店」は、昭和15年創業の老舗畳店。
現在は4代目である川辺哲也さんが店を切り盛りしています。そんな伝統ある畳店から生まれたのが、畳素材を使った雑貨ブランド「tatamino(タタミノ)」
。財布やコースター、スマホケースなど、“畳の香りや質感を日常に気軽に取り入れられる”アイテムを展開しています。
「tatamino」の魅力は、和の風合いを大切にしながらも現代の暮らしにマッチするデザインと実用性。町のお店や全国の百貨店イベントでも徐々に注目を集めています。

畳のコースター

畳のOBON

畳のアイアンスツール
なぜ畳屋に?
高校卒業後、すぐに家業を継いだ川辺さん。宮崎の畳店で修行を経て、20年以上にわたって畳一筋の道を歩んできました。
家業を継ぐことに対して初めから強い意志があったのではなく、ものづくりが身体に合っていたのだといいます。

川辺さん
実はデスクワークにも憧れた時期があったんですよ。少しだけやってみて「無理だ!」とすぐに感じました笑
手を動かす方が性に合っていたんですよね。

畳の新しい可能性
畳の需要が年々減っていく中で、川辺さんがtataminoを立ち上げたのは約4〜5年前。
もともとものづくりが好きで、レザークラフトを趣味で始めたことがきっかけでした。そこから「畳でも何か作れないか?」と考え、財布やコースターを開発。特に畳素材を使ったコースターは初めてのマルシェで完売し、「これだ!」と手応えを感じたと言います。
そこから少しずつ商品数や販売先を増やしていますが、現在も全ての工程を一人でこなし、日々朝4時から作業をしているそうです。

工場の様子

工場の様子

川辺さん
続けられているのはとにかく楽しいからなんですよね。商品を考える時も、作っている時も楽しい。売れた時は本当に嬉しい気持ちになります。
商品を作る上では「需要があること」「畳と相性が良いこと」「チープに見えないこと」を大切にしており、作業時間も重要な判断軸。自らの暮らしと両立しながら、持続可能な形でブランドを展開しています。
全国への挑戦
今後の目標として川辺さんが見据えているのは、「ギフトショー」などの展示会への出展。「一件一件営業するより効率がいい」と話しながら、自分自身が更に良い商品を考えるため、自動的に生産や販売が回る体制を目指して努力を続けています。
「知ってもらうことが一番難しい」と語る川辺さんは、販売やプロモーションを地域のカメラマンさんなどと協働して行っています。
また、人吉球磨地域の飲食店さんでは製品の魅力に惹かれて、コースターやランチョンマットなどを使っている事業者さんも多くいます。
地域の人との出会いを大切にしながら、日本全国を見据える想いが力強く伝わってきます。

畳を未来へ
現在、畳の材料となる国産い草は危機的な状況にあります。需要の低下、農家の高齢化、後継者不足、設備の老朽化といった課題が山積みで、今や中国産や樹脂製の畳が主流に。しかし、畳には独特の香りと肌触りがあり、日本人にとってどこか懐かしく、安心できる存在です。
川辺さんの挑戦は畳が好きだからこそだと気付かされました。


川辺さん
家に畳を敷くのはハードルが高い。でも、tataminoの商品を通して気軽に和の雰囲気を楽しんでほしいなと思っています。
畳を未来へ。川辺さんの静かな情熱が、確かにそこにありました。商品を手に取った誰かの心に、ふっと和のやさしさが届く——tataminoには、そんな力が秘められているのかもしれません。

基本情報
【住所】
〒868-0424 熊本県球磨郡あさぎり町上西96-2
・店舗での展示・販売・体験も行っています。不在の場合があるので事前にご連絡ください。
【お問合せ】
InstagramのDMもしくはお電話
0120-86-0031
【オンラインショップ】
https://tatamino.net/
【Instagram】
https://www.instagram.com/tatamino6129/
